ゴアテックス、ポーラテックなど高度な技術を使った化学繊維いわゆる「化繊」がキャンプでもアウトドアシーンでは普及していてさらに重宝されている。
今回は化学繊維ではなく、
天然繊維のウールをご紹介します。
最初に言っておかなければいけないことは、ウールというのは羊の毛で昨今動物愛護の観点で非常に大きな問題となっている繊維です。
要は羊の毛を刈ることには何も問題はないが、暴れたりしている羊に暴力を振るうなどして毛刈りをする動画での告発等が明るみになり、
ウール素材に対して「不買運動」など動物愛護的観点でネガティブな傾向にあるのがウールです。
今から「ウール最高ですよ!」と話すには最悪のスタートだけど、発信する上での責任は果たします。
そしてもう一つ、推したいのは新たなプロダクトではなくすでにだいぶ昔に生産された80年代前後の古着ニットであることも事前に伝えておきます。
ウールってすごい
ウールには非常に多くのキャンプ向きな性能を兼ね備えた天然繊維で年中重宝しないなんておかしいよ!と思うくらい。
冬は暖かく夏は涼しい
冬は暖かくて夏は涼しいって言われる少し理解し難い繊維のウール。
というよりそんなことあり得るはずがないって思って、掘り下げると厳密に
夏が涼しいんじゃなくて
少し快適だということ。
ウールが暖かい理由は吸湿性の高さにあって、吸湿した際に発する熱で暖かくなる
さらに厚手のニットなら繊維の中で保温する役割をしてくれるからニットは暖かい。
じゃあ夏はどう涼しいの?
これに関しては、上記でも書いたけど本当は涼しいというよりは快適なんだと思う。
ウールというとニットやスラックスというイメージが強いだろうからよけいに、
涼しいって概念に至らないと思うけど、
登山用のベースレイヤーとして使われるメリノウールの薄手のTシャツを使えば「涼しい」と感じれると思います。
どういうメカニズムなのかというと、ウールは吸った水分(汗)を水蒸気として放ち、体から気化熱を奪うことで、高くなりすぎた体温を適温に下げる役割も果たします。
構造的に繊維の内側に水分を吸収し、繊維の表面で水をはじく作用が汗をかいてもウールの生地は身体に張り付きにくい。
体の温度調節を促してくれる
濡れた生地が汗で体へ張り付く不快感がないことに加えて、服と身体の間に適度な空間が保たれることで、汗冷えを起こしにくくなります。
キャンプ場で設営して汗かいた時、コットン生地のTシャツだと一気に体冷えますよねウールだとそうはならないよ。っていうことが言えますね。
※流石に吸湿の限界を超えた場合は着替えて笑
大体許容範囲はコットンの2倍だから参考までに。
汗をかいた後でも、汗冷えが発生しにくく、ウールが持つ「吸放湿性」が、着用者の身体の温度調節を助けて、快適さを維持してくれます。
焚き火ウエアにもウールを
焚き火するにもウールは最高です。
コットンも捨て難いけど、やっぱりウールがいい。(ウールが好きっていうだけじゃなくて。)
脱臭効果
ウールには汗をすぐに放出する効果の他にも脱臭効果もあって、あのしつこい焚き火臭にも効果的です。
で一番辛いのが燻された後、しばらく服にこびりつくあの匂い
全然家に帰るまで気づかないんだけど家に帰ると「意外と臭うなー」と感じる。
キャンプ中は気にならないけど、家に帰るとだいぶキツいあの匂い…
ウールだとどれだけ違うんだろう…
ウールとコットンで比較
ちょうど友人がデニムジャケットを来てきてくれたので
コットンとウールで試してみた。
彼のこの勇気あるLevisのBIG E。
(燃えれば良いのにと思っていたのは内緒。)
できるだけ焚き火臭が出るように、
少しだけ湿気った薪を使って一日焚き火で料理したり
暖をとったりして過ごしてみたけど
結果はコットン、というかデニムは2週間ほどかかった。そしてウールが3日にはもう匂いが取れていた。
特に中に着ていたイノウエブラザースのニットなんかは2日目にはもう匂わなくて、一晩で消えたんじゃないかっていう早さだった。アルパカ恐ろしい…。
おわりに
ウールと言っても、気温によって使い分けたり、アウトドアにおいて何をするかによっても違う。
誤って使えば暑過ぎてしまい不快に、、
だがうまく使えば快適なアウトドアライフを支えるギアに。
ウールを制す者はアウトドアを制す
カッコよく言って見せたけど、無理なく自分のキャンプスタイルに合わせた使い方をして欲しい。
とはいえ現行品では、少々値が張ったりで手に届かないことがあるので、ぜひ古着のアランニットやヴィンテージブランケットなんかは良質でそこそこの値段なのでそこから手にし始めてもいいと思います。
少し時期外れですがアランニットがいくつか残っていますので、4月の山の夜では活躍すると思いますのでよければショップを覗いてみてください。