今やテントの形では当たり前で
あらゆるテントがこの構造なしでは
テント業界は成り立たないほど

僕らのキャンプシーンに馴染んでいる
ドーム型テントだが、

最近まで、私は
その誕生背景まではよく知らなかった。

確かにテントの歴史的に、
何千年も用いられる

インディアンのティピーや
モンゴルのゲルなどの移動式住居から
見てもポールを曲げたような
構造は見受けられない。

「じゃあ、どういう経緯でこんな形に
なったんだろう?」

どうしてもルーツがきになる私は
またもや深掘り、、、

深堀っていったら今日の私たちにとって
大切な考え方がそこにはあった。

気になる方は是非読んでみてください。

今回もよろしくお願いします。

起源から追っていく

(画像出典:https://www.goldwin.co.jp/tnf/special/mountainbasics2015_1)

 

世界最初のドーム型テントと言われるのは
いうまでもなく1975年にノースフェイスより
発表されたオーバルインテンション。

そのドーム型のテントを可能にしたのが
ジオデシック構造というものだった。

ノースフェイスにおいては
2メータードームやジオドーム4にも
搭載されている有名な構造である。

今ではそこからあらゆる形へと
ドーム型テントが分岐したと思われるが、

当時主流だったAフレーム型テントとは
一線を画すような曲がったポールのみで
構成されたフォルムは当時衝撃を
与えたと言われている。

ではなぜノースフェイスは
そのジオデシック構造を
テントに取り入れたのか?

ということで、次の見出しからは
ドーム型テントのキーとなった
そのジオデシック構造について
お話ししていくことにする。

ジオデシック構造って何?

まずは、ジオデシック構造って何?
というところから説明していくが、
既知の方は読み飛ばしてもらって
構わない。

ジオデシックという言葉は訳すと
「測地点」といって簡単に言うと

球体にプロットした
二点を最短で結ぶ線のことである。

(飛行機とかが最短距離で向かう時の
大圏ルートなんかもジオデシックによる)

こんな感じの線を結んでいき、

測地点を結んだ線だけで
出来るだけ球体に近づけた構造を
ジオデシック構造と呼ぶ。

ちなみにサッカーボールも

五角形と六角形が合わさった球状の構造
なのでジオデシック構造といっても
差し支えはないみたい。

ジオデシックの生みの親

バックミンスター フラー とジオテックドーム

この構造を発案したのはアメリカの
科学者であり、思想家であり、発明家の
バックミンスターフラーという人物。

彼はエコロジーの父や
現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ
とも言われており、

簡単にいうと車や家、地図など
当時から従来の方式に異を唱えて、
エネルギー効率や環境への影響をベースに
持続可能な方法を模索した人。
(全然簡単じゃない)

その根底にあるのは
「DO MORE WITH LESS
という考えだった。
(小さなもので最大の成果をという意味)

この考えは、地球にはエネルギーが
たくさんあるのに人は使い方が
間違っているので、

資源が足りなくなるのだとし、

少ないものからより多くを得られれば、
多くの環境問題は解決できるという
ところから来ている。

(なんかとても今に通づる考え方だけど
当時は工業化時代の真っ只中で、
国自体が技術の発展のみを意識してて
結構無視されていたんだって。)

話が少しそれたが、
このジオデシック構造もしっかりと
DO MORE WITH LESS
考えを引き継いでいる。

ということで次の見出しでは、
ジオデシック構造の背景、
どうDO MORE WITH LESS
繋がっているか
に迫っていく。

住居からテントへ

実はこのジオデシック構造というのは
テントのために開発されたわけではなく
建築、住居のために
考案された構造だった。

このジオデシック構造の利点は
構成材料の単位重量当たりの強度が
最も高いこと。

どういうことかというと、

球体に近い構造なので
一般的な住居よりも少ない材料で
構築することができるらしい。

(球体は最小の表面積で
最大の体積を誇ると言われている)

また、エネルギー効率的にも
箱型の家に比べると、
熱が逃げる窓や屋根の表面積が少ないため

そこから逃げる熱の量も少なくて
済むというメリットがあったり、

全てが正三角形で構成されているので、
組み立ても非常に簡単だという。

フラー博士は少ない材料で簡単に空輸でき、
かつエネルギー効率も良く
数日ですぐに建てられる住居として
ジオデシック構造を提唱して、
人間にも環境にも配慮した住居を目指した。

ここまでくると、どこでも軽量で
すぐに建てられ、さらに強度も担保する

となれば、アウトドア界にも
ジオデシック構造が応用されたのは
想像に易く、むしろ自然な流れ
とも言えるだろう。

少量でありながら、最大の効果を生む
ドームテントの先駆けとなったこの構造は

まさしく「DO MORE WITH LESS」
(最小で最大を得る)

考えによるものだった。

[box05 title=”余談”]

余談だが、フラー博士は
日本との交流もあったようで、

現在のよみうりランドの上空に
ジオデシック構造のドームを作り、
エネルギー効率を高めて

空調がいらない取り組みを
行おうとしていたという話もあったらしい。

あとは身近で見るジオデシック構造といえば
富士山頂のレーダードームや

住居でも最近では
ドームハウスってのもあるみたい。

(画像出典:https://www.bess-dome.com/gallery.html#1)

[/box05]

最後

僕らに馴染み深いドームテントは
実は環境や社会を思った結果、

生み出されたジオデシック構造が
起源であり、少なくとも
フラー博士のエコロジーな考えが
しっかりと残る物とも見てとれる。

一見、人工的な造形美は自然を
全く無視したもののようにも思えたが、

実はそうではなく、
むしろ自然のことを真摯に考えた結果、
「より少ないもので最大の効果を出そう」

という重要な考えのもとに生み出された
構造だという事実は非常に面白い。

次回は、これをもとに話をもう少し広げ、
このDO MORE WITH LESSな考え方が、

どう私たちと結びついて
いかなければならないのかでも
話してみようと思う。
(書けたら書きます。)

それでは、今回もありがとうございました。

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